東京大学 大学院新領域創成科学研究科 特任研究員
現代の都市環境は、歩行者の安全性や快適性、そして地域の活性化という観点から、公共空間の質の向上が求められています。私の研究は、先進的なセンサ技術やデータ解析手法を用い、都市空間における歩行者の行動パターンや利用実態を定量的に明らかにすることを目的としています。これにより、歩行者天国の実施、休憩空間の設計、さらには地域の歩行環境改善のための実践的な示唆を提供することを目指しています。
高精度なレーザーセンサ(LiDAR)を用いることで、1秒以下の計測間隔、30cm未満の誤差で歩行者の位置、速度、進行方向をリアルタイムに計測。
ビデオカメラを用いて断面歩行者交通量を集計し、スマートフォンGPSデータを用いて移動経路の推定を行うなど、複数のデータソースから空間と時間軸の両面で歩行者の動態を解析。
LiDAR、ビデオ、ポイント型流動人口データ、現地アンケート調査など、定量データと利用者の主観的な意見の双方を組み合わせることで、より現実に即した都市空間の評価を実施しています。これにより、歩行者の動態を多角的に理解し、公共空間の改善策を具体的に提案するための基盤を構築しました。
温泉街および宿泊施設周辺の歩行者行動と交通動態を多角的手法で解析。チェックイン・チェックアウト調査、LiDAR計測、ビデオ撮影による現況把握から、温泉街の利用実態と安全性向上への示唆を得ました。
詳しく見る »銀座スカイウォークイベントを契機に、橋梁部や滞留空間(エシカルゾーン)における歩行者の行動特性を多角的手法で解析。イベント時の歩行者動態とSNS投稿の分析を通じ、公共空間のデザイン改善に寄与する示唆を得ました。
詳しく見る »歩行者天国実施時と通常時の柏駅前ハウディモールにおける歩行利用状況を、ポイント型流動人口データ、ビデオ撮影、LiDAR計測、アンケート調査を通じて解析。全体の歩行者数増加や車道空間の利用、利用者属性との関連性を明らかにしました。
詳しく見る »これらのプロジェクトを通じ、都市空間の「見える化」と動的マネジメント戦略の両面から、歩行者行動の多角的な理解が進みました。先進技術を駆使したデータ収集と解析により、従来の定性的評価に加えて数値的エビデンスに基づく改善策を提案できるようになりました。今後は、これらの知見を都市全体の歩行環境改善に応用し、実際の街づくりへの政策提言や、他地域との比較研究を進めることで、より普遍的なマネジメント手法の確立を目指します。
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